夏休み共同開発イベント「ODT2026」開催レポート|喜多見・成城学園前・狛江の小中学生がペアプログラミングに挑戦

ODT2026|小中学生の共同開発×ペアプログラミング

世田谷区喜多見のプログラミング教室J’VALLEでは、夏休み恒例の共同開発イベント「ODT(One Day Teacher)2026」を開催しました。

喜多見・成城学園前・狛江周辺から集まった小学1年生から中学生までの子どもたちが、学年や普段のクラスを越えてチームを結成。2日間・合計6時間という限られた時間の中で、ゲームの企画からプログラミング、デザイン、調整までを協力して進めました。

短期間でアイデアを形にする、いわば子どもたちによるハッカソン・ゲームジャム型の特別授業です。

今年は、例年の共同制作をさらに一歩進め、2人で1台のパソコンを使って開発する「ペアプログラミング」を本格的に取り入れました。

ODTとは?子どもたちが学びの主役になる共同開発イベント

2022年にスタートしたODTは、今回で5回目を迎えました。

「One Day Teacher」という名称には、講師から教わるだけでなく、子どもたち自身が仲間に考えを伝え、得意なことを教え合いながら学びをつくってほしいという思いを込めています。

普段の授業では、一人ひとりが自分のペースで作品制作を進めることが多くあります。一方、ODTでは、初めて一緒に制作するメンバーと話し合い、1つの作品を完成させなければなりません。

  • 自分のアイデアを相手に伝えること
  • 相手の意見を聞くこと
  • うまくいかない原因を一緒に考えること

プログラミングの技術だけでは完成しないところに、共同開発ならではの難しさと学びがあります。

少人数だからこそ「一緒に考える時間」を重視

ODT2026は、これまでよりも少人数で開催しました。

参加人数を絞ったことで、一人ひとりが作品に深く関わり、相手の考えを聞きながら制作を進める時間を確保できました。

人数が多ければ、作品の規模や役割を広げることができます。一方、少人数のチームでは「誰かに任せる」のではなく、全員が企画やプログラムの内容を理解し、判断に参加する必要があります。

今年は作品の大きさだけを追うのではなく、子どもたちがどのように相談し、考え、納得しながら作るかという制作の過程を大切にしました。

今年のテーマは「夏・秋・日本の遊び」

初日は、「夏」「秋」「日本の遊び」という3つのテーマをもとにしたアイデア出しから始まりました。

「夏祭りの屋台」「季節の食べ物」「竹馬」「水辺の生き物」など、思いついた言葉をホワイトボードに書き出し、そこからゲームのルールや登場するキャラクター、遊び方を考えていきます。

最初から完成形が決まっている教材ではありません。

  • どんなゲームなら遊んでみたい?
  • どうすれば面白さが伝わる?
  • 制限時間の中で、どこまで作れそう?

子どもたちはアイデアを広げるだけでなく、それを実現できる形へ整理することにも挑戦しました。

チーム内では、次のような役割も意識しながら制作を進めました。

チームの主な役割

  • リーダー:進み具合を確認し、チーム内の意見をまとめる
  • プログラム担当:ゲームの動きや判定などを組み立てる
  • デザイン・アニメーション担当:キャラクターや背景、演出を制作する

ただし、今年は役割を完全に分けるのではなく、お互いの作業内容を理解しながら進めることを重視しました。

今年力を入れた「ペアプログラミング」

昨年までの共同制作で見えてきた課題

これまでのODTでは、企画と役割分担を決めた後、それぞれがプログラムやデザインを担当し、途中で進捗を共有する方法を中心にしていました。

この方法には、自分の得意分野に集中できる良さがあります。

その一方で、別々に作業を進める時間が長くなると、プログラム担当が想定している動きと、デザイン担当がイメージしている表現に違いが生まれることがあります。

完成間近になってから、次のような認識のずれが分かり、修正に時間がかかる場面もありました。

  • このキャラクターは、ここでは使えない
  • 思っていた動きと違う
  • この機能を追加すると、ほかの部分も直す必要がある

共同開発は、仕事を分けるだけでは成立しません。お互いが何を考え、何を作っているのかを共有することも、大切な開発の一部です。

そこで今年は、昨年までの経験を踏まえ、制作の最小単位を「一人」から「ペア」へ変更しました。

2人で1台のパソコンを使い、交代しながら制作

ペアプログラミングでは、2人の生徒が1台のパソコンを囲みます。

一人がマウスやキーボードを操作してプログラムやデザインを作り、もう一人が画面を見ながら、次の手順を考えたり、間違いや改善点を伝えたりします。

一定のタイミングで役割を交代し、どちらか一方だけが操作を続けないようにしました。

ドライバー

マウスやキーボードを操作し、実際にプログラムやデザインを制作します。

ナビゲーター

画面を一緒に見ながら、次の手順を考えたり、間違いや改善点を伝えたりします。

プログラミングの現場では、操作する人を「ドライバー」、隣で考え方やコードを確認する人を「ナビゲーター」と呼ぶことがあります。

ただし、ODTでは役割の名称を覚えることが目的ではありません。

  • なぜこのブロックを使うのか
  • 次に何をしたいのか
  • 今の動きは、考えていたものと合っているか

こうした考えを言葉にしながら、一緒に決めていくことを大切にしました。

技術の差を「教える・質問する機会」へ

ペアで制作すると、経験のある子だけが先に作業を進めることが難しくなります。相手に分かるように説明し、納得したうえで次へ進む必要があるからです。

プログラミングにまだ慣れていない子は、隣で操作を見て終わるのではなく、説明を聞いた後に自分でも同じ操作を試せます。分からない部分も、その場で質問できます。

一方、経験のある子にとっても、教えるためには自分の考えを整理しなければなりません。

「どうしてこの処理が必要なのか」を言葉にする中で、クローンの使い方や条件分岐、キャラクターの動かし方をあらためて見直し、より効率的な方法や新しい表現に気づく場面もありました。

技術力の差をなくすのではなく、その違いをお互いの学びに変えていく。それが、今回のペアプログラミングで特に大切にした考え方です。

手戻りが減り、作品への納得感も高まった

画面を一緒に見ながら小さな単位で確認することで、プログラムとデザインの認識がずれにくくなりました。

問題が起きたときも、完成後に大きく作り直すのではなく、次のように原因を一緒に整理しながら修正できました。

  • ここまでは動いている
  • このブロックを追加してから動かなくなった
  • まず元に戻して確かめよう

これは単に作業を早くするための方法ではありません。自分たちが作っているものを二人とも理解し、納得しながら完成へ近づけるための方法です。

今回のODTでは、作品の手戻りが少なくなっただけでなく、質問や説明、提案の回数も増えました。プログラミング技術とコミュニケーションの両面で、学びの深まりを感じられる取り組みとなりました。

ODT2026で完成した作品を紹介

今回のODT2026では、それぞれのペアが企画からプログラム、デザイン、効果音までを相談しながら制作しました。

同じテーマからスタートしても、ゲームのルールや世界観、面白さの表現方法はそれぞれ異なります。

ここからは、子どもたちが2日間で完成させた2つの作品を紹介します。

作品①「ボートで大量ゲットを狙え!Fish & Insect キャッチ」

ゲーム内容

ボートに乗ったプレイヤーを操作し、制限時間内に魚や虫を捕まえてポイントを集めるゲームです。

魚や虫を捕まえると得点になりますが、岩やムカデを捕まえると減点されます。次に何が流れてくるかを見極め、狙った獲物にタイミングよく網を使うことがポイントです。

ゲームに登場する「金のムカデ」に何が起こるかは、遊んでからのお楽しみです。

こだわり・ポイント

水面にいるアメンボが滑るように動く表現にこだわりました。

速さや向きを調整しながら何度も動きを確認し、生き物らしく滑らかに見えるアニメーションへ近づけています。

操作方法

  • ボートの移動:矢印キー
  • 網を使う:スペースキー

作品②「スイカPK」

ゲーム内容

1分以内にスイカを8個以上、ゴールキーパーの頭にはめることを目指すPKゲームです。

残り時間が30秒になると「スイカ感謝祭」がスタート。大量のスイカが降ってきて、一気に得点のチャンスが広がります。

一般的なPKとは少し違う、子どもたちならではの自由な発想が詰まった作品です。

こだわり・ポイント

スイカがキーパーの頭にはまった瞬間の効果音と、成功したことが伝わる演出にこだわりました。

スイカのコスチュームにも工夫があり、果汁があふれ、種が飛び出す様子までデザインしています。

思い切りスイカを蹴り、にぎやかな演出を楽しめるゲームです。ストレスを発散したい人にもおすすめです。

操作方法

  • 左右キー:プレイヤーの移動
  • 上キー:移動スピードアップ
  • スペースキー:スイカを蹴る

共同開発が子どもたちにもたらす学び

共同開発では、自分の頭の中にあるアイデアを、相手に伝わる形にしなければなりません。

また、自分とは違う意見を聞き、作品全体にとってより良い方法を一緒に考える必要があります。

特に今回のペアプログラミングでは、次のような経験が生まれました。

  • 自分の考えや手順を、相手に分かる言葉で説明する
  • 分からないことをそのままにせず質問する
  • 相手の操作を見て、間違いや改善点に気づく
  • バグの原因を二人で切り分ける
  • 意見が違うときは、実際に動かして確かめる
  • 得意なことを教え、苦手なことを助けてもらう

これらは、プログラミングに限らず、学校でのグループ活動や将来の仕事にもつながる力です。

一人で正解へたどり着くことだけが学びではありません。考えを持ち寄り、試し、失敗し、話し合いながら、より良い形へ近づけていくことも、ものづくりの大切な学びだと私たちは考えています。

「できる」を、仲間と分かち合える学びへ

2日間・合計6時間という限られた時間の中で、子どもたちは企画から制作、修正までをやり遂げました。

今回印象的だったのは、分からないことが起きたときに、すぐ講師へ答えを求めるのではなく、まずペアで画面を見ながら話し合う姿が増えたことです。

講師は完成までの答えを先回りして教えるのではなく、考えを整理するための質問をしたり、行き詰まったときにヒントを出したりする相談役として関わりました。

作品そのものはもちろん、

  • 自分の考えを相手に伝えられた
  • 友達の説明を聞いて作ることができた
  • 二人で協力してバグを直せた

という経験も、ODT2026で生まれた大切な成果です。

保護者・教育関係者の皆さまへ

ODTは、短期間で作品を完成させることだけを目的としたイベントではありません。

子どもたちが自分の得意なことを生かしながら、異なる経験や考えを持つ仲間と協力し、一人では作れなかったものを形にする。その過程にこそ、共同開発の価値があります。

今年導入したペアプログラミングを通して、プログラミング教育はパソコンに向かって一人で学ぶものだけではなく、対話や説明、協力を通じて深められる学びでもあることを、あらためて感じました。

J’VALLEでは、通常授業に加え、作品発表や共同開発、プログラミングコンテストなど、子どもたちが学んだ技術を実際に使い、誰かへ伝える機会を大切にしています。

今後も世田谷区喜多見を中心に、成城学園前・狛江周辺の子どもたちに向けて、楽しみながら創造力や課題解決力を伸ばせるイベントを開催してまいります。

プログラミングやゲーム制作、ロボット制作に興味のある小学生・中学生、保護者の皆さまは、ぜひ教室の体験・見学へお越しください。

当日の様子をみる

ハッカソン・ゲームジャムとは?

ハッカソンとは、ハック(Hack)とマラソン(Marathon)を掛け合わせて造られた造語です。ITエンジニアやデザイナーなどが集まってチームを作り、特定のテーマに対してそれぞれが意見やアイデアを出し合います。そこから決められた期間内でアプリケーションやサービスを開発し、その成果を競い合うイベントです。その開発の際にはマラソンのように数時間から数日間といった時間、プログラミングに没頭することからマラソンに例えられています。


ゲームジャムとは、ゲーム開発者やプログラマ、デザイナーなどが集まり、決められた「短時間」と「お題(テーマ)」に沿って、ゼロからゲームを作り上げるイベントのことです。音楽の「ジャムセッション」のように、即興でアイディアを出し合いながら形にするスタイルが名前の由来となっています。

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